仏壇を前に

長かった梅雨もようやく明け、ギラギラと照りつける日差しとムシムシとした湿気に夏本番を感じている。暦の上ではもう秋だが、まだまだこの暑さも続きそうだ。この時期、各寺院ではお盆棚経を勤めている。当寺もその真っ最中である。各檀家にお伺いすると、どちらでも丁寧にお迎え頂き、有り難く感じる。また、ほとんどのご家庭で共に読経を捧げて下さり、ご先祖様もさぞ喜んでおられることであろう。
先日、U総代のお宅にお伺いした時のことである。何時もは議会や公用で多忙極まりなく、ほとんど留守にされているのに、わざわざお迎えに出て来て下さった。総代が不在の時は、奥様と高校生の息子さんがいつも同席してくださり、共に読経させて頂いているが、今回は総代も加わり親子三人でのご先祖供養となった。ことに嬉しいのは、親子揃っての読経である。我が子の前で自分の亡親やご先祖様に手を合わせる姿が、どれだけ次代の“信仰の芽”を育てるのに強く影響することであろう。親の真似をして成長するのが子どもであり、意味は分からずとも自然に似てくるのがその“行い”である。今回の棚経では、身をもって信仰の姿を示されたU家のあり方を特に感じることが出来た。“総代”とは、そんな方が務められるものなのであろう。
ご両親の姿を、子どもは自然に見ているものです。