抱かれた赤ちゃん

今月の始めの頃であったろうか、若い夫婦が生まれて間もない赤ちゃんを抱いて、本堂の前で手を合わせておられた。その姿はとても幸せそうで、微笑ましく感じられた。その後、水子地蔵にも手を合わせて帰っていかれた。
水子供養をされる方にお聞きすれば、様々な事情がおありのようだ。大切に育んでいても途中で灯が消えてしまった命、両親の事情で生まれ出ることが出来なかった命… いずれにしても亡くなった命に手を合わせ、供養を捧げることは尊く有り難いことである。以前ご供養の際、ある夫婦に「この先、赤ちゃんが生まれることがあったら、寺にお参りして下さいね。」と、話した記憶がある。おそらくこの夫婦が新しい家族を連れて、御佛さまにご報告に来てくれたのであろう。
2人に授かった小さな命。縁薄くしてこの世に出ることが出来なくとも、親からの“おえ”を受けることで、その身を“う”ことは出来るはずである。心の中で忘れられない水子の魂に、両親からの“供養”がそそがれることを願ってやまない。