40年前の鐘楼堂

当時の面影が、よく伝わってきます。
過日、とある檀家の第13回忌法要を執り行った。ご自宅に赴くと大勢の親族が集まっておられ、老若男女皆でお経を捧げ、霊位への追善をお祈りさせて頂いた。自宅でのご回向が終わり、今度は当寺へ場所を移そうとしたところ、お施主さんがアルバムを持って来て下さった。「アルバムを整理していたら、こんなのが写ってました。」と。見れば当寺の鐘楼堂の前で親族が集まって写した記念写真であった。現鐘楼堂の先代である。昭和46年に営まれた法要での写真のようだが、その中には今般ご供養を捧げた故人の若かりしお姿が…
この度のご法要で、故人がこの写真を皆に見せてくれたのだと感じた。当時の寺観を知る上でも貴重な一枚であるし、写真には今は亡き檀家の姿も他に見ることができた。年回忌法要は、ただ故人を偲ぶだけではなく、親族の集いの場でもあり、世代間の交流の場でもある。年長者が子や孫に時代の流れを語り、子や孫が年長者に今やこれからの時代を感じさせる… これも代々受け継がれてきた、親族間の伝承ともいえよう。
法要が終わって鐘楼堂の前にて記念に1枚。40年後には今写っている子ども達も、随分と貫禄がついていることであろう。
時代は変われど、故人を想う気持ちは変わらぬものですね。