大黒様の垢落とし

まずは、本堂前の大黒様に読経を捧げます。大黒様は一体一体“お湯”に浸かって、垢を落としてもらいます。
年末の恒例行事となっている「垢穢落とし大黒祭」を先日執り行った。
各家にお祀りしている大黒様を当山にお持ち頂き、特別に調合した“お湯”に浸かってもらい、一年の垢を落とすのである。その“お湯”は有色で、とても良い香りがする。前日までにお預かりした大黒様は、一体一体丁寧に埃を払い本堂にお祀りする。並べてみると、1年ぶりの再会に大黒様同士も益々笑顔に見えるから不思議である。枡入り大黒天は、一体ずつ手書きで経文を記したこともあり、「あの時、こうしてお経を書いて開眼したなぁ。」と、記憶がよみがえってくる。いずれも私にとっては可愛い“子大黒”である。
いつも「大黒祭」を行って思うが、日々の積み重ねや神仏を信じる心が“幸せ”の原点ではなかろうか。積み重ねとは努力であり、努力をするからこそ結果が得られる。結果が得られれば、おのずと感謝の気持ちが芽生え、神仏に対しても自然に手を合わせることが出来る。大黒様をお祀りしている方は、そういう方が多い。
大黒様を手にしたらすぐ幸運が舞い込むのではなく、幸運をつかむ為に大黒様がお手伝いをしてくれるのであろう… 
苦労を知っている人は、優しさを具えあわせている。地道に努力するからこそ、何が“幸せ”か見えてくるのではないだろうか。