御会式写経

当山では宗祖の御遠忌法要にあたる「御会式(おえしき)」にて、毎年檀信徒の皆さんに“写経”をお薦めしている。明日の御会式法要に間に合うよう、多くの方が自分で書かれた写経をお持ち下さった。それぞれがお持ち下さった写経を拝見すると、その一つ一つに書かれた方の個性が表れている。筆で書かれた方、ペンで書かれた方、太く書かれた方、細く書かれた方、文字が少し震えている方、力強く書かれた方… その文字一つ一つがその人自身であり、み仏様であると私は感じる。お経の文字には大切な仏教の教えが説かれており、その文字をなぞることでお経に触れ、また書かれた方の思いや念も同時に込められていく。これ程尊い修行は、他になかなか見当たらないと思う。書きあがった写経は本堂に奉安され、日々の勤行にて読経が染み込み、自身やご家族が臨終を迎えた時には、棺にお入れして荼毘にふされる。生きている時に積まれた修行や功徳は、かたちを変えて自らに還ってくるものである。写経に書かれたお名前を見ながら、その方がどのように写経されたか想像してみる。その瞬間、きっとみ仏様のような表情をされているにちがいない…
写経は、心を落ち着かせる素晴らしい修行だと思います。