写経

一文字一文字に、願いが込められている写経です。
秋の彼岸も終わり、本堂や位牌堂、墓所では、ご先祖様に手を合わせる尊い姿を拝見することが出来た。ちょうど“彼岸花”の赤い花も咲きほこり、お参りの方の目を楽しませているかのようであった。
今回、彼岸のご案内と共に写経用紙をお配りした。10月25日に総本山・身延山久遠寺にて、広島県宗務所主催の“立正安国・恒久平和”の大法要が行われ、「平和のいのり納経塔」に写経が納められるのである。
多くの方が写経を書いて、持ってきて下さった。今回の写経は『妙法蓮華経如来壽量品第十六』の一節が薄く書かれており、その文字をなぞるものであった。写経をされた方の中には、「もっと沢山お経を書くものはないですか?」とか、「もう少し書きたいので、写経用紙を下さい。」と言われる方もおられた。日常の生活の中では、筆をとり、心を落ち着かせお経を書くことなど、なかなか出来ないことであろう。まして筆を持つ習慣が少なくなった現代では、筆を持つ機会こそ限られることではなかろうか。
『五種法師』という修行法の中では、『書写』は最後に行う修行と説かれている。
受持・読・誦・解説・書写… 写経が人々に何を与えることができるのかを考える、よい機会となった。