96歳の映画監督

時代を感じさせてくれる“名車”です。この“名車”、タクシーの設定で登場しました。
過日、福山自動車時計博物館の主任学芸員さんが、「石内尋常高等小学校 花は散れども」という映画の招待券を持ってきて下さった。なにやら、博物館のレトロカーが撮影に使用されたようである。大正・昭和が舞台となるこの映画には、当時を連想させる衣服や生活用品(大道具・小道具)がおのずと必要になる。そんな品々を保管しているのが各種博物館という訳だ。今回、貸し出されたのは日野 ルノー(1961年式)、トヨタ パブリカDX(1966年式)、ホンダ T360(1966年式)の3台のようである。そんな情報を事前に聞くことで、映画も違った角度から見ることが出来た。特に興味を引いたのは、今年で96歳を迎えた新藤兼人監督の作品であること。以前、ニュースでも取り上げられていたことを記憶している。物語は、広島市から山一つ奥にある「石内尋常高等小学校」の教師と生徒の人生模様を描いたもので、教師と生徒達の信頼関係、小さな農村での生活の様子、戦争がもたらした悲劇、年月を超えた愛のかたち等を感じることが出来た。監督自らが石内尋常高等小学校の卒業生というのも面白い。フェクション、ノンフェクションは別として、少し切なく、また心温まる映画であった。“古きよき時代”とはこういうものかもしれない。今を生きる我々も、時代に左右されず、真っすぐな人生を歩まなくてはならないと感じた…