季節の賜物

食べ物は、体と心の両面を育てる物ではないでしょうか。
秋の彼岸もあっと言うまに「結岸」を向かえ、檀信徒各家の位牌棚には、お参りされた方がお供えした様々な供物が置かれていた。毎回、心のこもったご供養を頂き、故人もさぞ喜ばれていることであろう。
過日、千葉の友人から大きな梨が届いた。毎年この時季になると、地元でとれる“秋の味覚”を送ってくれる。実は毎年家族で楽しみにしており、感謝しながら秋の味覚を堪能させてもらった。秋は実りの季節、これから店頭にも秋ならではの食べ物が並び、多くの人の目と舌を楽しませてくれることであろう。
ただ、季節の賜物を戴く前には今一度、“実り”に至るまでの流れを考えてみたいものである。特に農作物は手間ひまかけて育てている農家あってのもの、また天候によっては出来、不出来も生ずるであろう。今年に入って燃料費の高騰、ゲリラ豪雨に見られる天候の異常、人災ともいえる食の安全管理の崩壊等々… 全ては“感謝の気持ち”を忘れた我々に対する警告であるかのように思える。「昔はごく普通に何々を食べていたのに…」、そんな時代にしてはならない。