純真な心

位牌堂にて各家御先祖様にお供えされた生花。
清々しい旭日に照らされ、秋の彼岸入りを迎える。朝勤をしていると、早くからお墓に参られる方の姿があった。とある檀家が位牌堂にお参りされた時、少々お話をさせて頂く。聞けば数日前が誕生日で、今年で「米寿」を迎えたとのこと。「元気でお参りできるのも、皆さんのお蔭です。」その言葉からは、ご自身の“徳”が今を支えてくれていると感じられた。
午前中は水子供養の法要をいとなみ、ちょうど祥月命日に合わせて来られた方、小さなお子さんを連れてお参りに来られた方と、それぞれ亡き水子霊位に対する大きな想いを感じさせてくれた。ことに幼児と小学生のお子さんを同席させての法要では、小学生の子が一生懸命大きな声でお経を読んでくれた。横に座った母親の目からは、自ずと涙があふれ出ていた…
故人を想う気持ちは、その振る舞いひとつからも感じることができる。お経の読み方もまさに、その人の気持ちを表しているものだ。この世に生まれ出ることができなかった小さな命。その子を想う親の気持ち。またその親の悲しみを肌で感じ、そっと親を支えようとする子ども。実に心打たれる法要であった。