草むしり

人が汗する姿には、感動があります。
春から夏にかけ、境内や墓地等いたる所に雑草が“これでもか”と言うほどよく生える。お墓参りの方もこの季節、気合が入るのもうなずける。雑草にも色んな種類があり、上に伸びるもの、横に広がるもの、根の深いもの、さり気なく草花に混ざって成長するもの、きれいな花をつけるもの等々、あの手この手で私たちを挑発してくる。そしてまた、雑草から計り知れない生命力を感じさせられる。境内墓所は除草剤を禁止しているが、知らずに撒いてしまう人も中にはおられる。ところが、撒いた直後に雑草は無くなるが、しばらくすると以前にも増して根が深くて、除草剤負けしない強い雑草が生えてくるのだ。知らない人も多いようだが、除草剤も良し悪しである…
さて過日、素晴らしい光景を目にした。前日に頭を丸く刈られた小僧さんが、朝勤の後に本堂前の雑草をせっせと抜いていたのだ。まさに“お寺”ならではのワンシーンとも言えよう。どうやら妻の手伝いを“させられて”いたようだが、とても嬉しく思えた。私も小僧時代はよく草むしりをさせられたが、嫌々していても、あとに自分が手入れした場所をよくよく見ると、不思議と清々しい気持ちになることが出来た。おそらくこれが掃除の極意であろう。内心「多くの人にこの極意を伝えなければ」と、密かに企んでいる私であった。