菩提寺の墓所へ

見晴らしのよい場所に、移動することが出来ました。「開眼式」では、皆でお経をお唱えしました。
当山の檀家役員に、信仰熱心なMさんという方がおられる。80代後半になられるが、お寺の行事には欠かさず出席され、当山『平成大改修』では毎日お寺に通われ、お手伝いをして下さった。真夏の炎天下、真冬の寒空の下でも、工事現場の人達と共に汗を流された。また、「法華経」や「御遺文」にも精通しておられ、未信の方々にも進んで信仰話をされている。平素からご懇意にして頂き、会えば様々なお話をして下さる。
そんなMさんであるが、墓所は当山と離れた霊園にあり、これだけ当山に尽くしてくださるのに何故墓所が外にあるのか気にはなっていた。そしてある日、「機会があれば、当山に墓所を移されてはどうですか」とお話した。ご本人も気にはなっていたらしく、胸の内を色々とお話され、この度墓所を移される運びとなった…
先日、無事移動が終わり「開眼式」を執り行った。法要には皆で一心に、お経をお唱えした。お寺を護持する為に、一生懸命尽力してくださる方には、歴代上人をはじめ当山を護る先亡の諸精霊がご加護を与えてくださっている気がしてならない。菩提寺を思う気持ちこそが、今回の“ご縁”を導いてくださったのではなかろうか。
「開眼式」の最後にMさんが、「これで安心しました」とそっと囁いた。その言葉を聞いて、胸に熱いものがこみ上げてきた。