亡き子を思う

待合のテーブルです。象の彫刻がお迎えしてくれます。
昨日、檀家外の方からご依頼を頂いた、「年回忌法要」を当寺で執り行った。
その方は、先月当寺に初めて来られ、亡くなった息子さんの法要を行いたいと、胸の内を切にお話になられた。ご本人は市内でも当寺から少し離れたところに住まわれ、自転車を一生懸命こいで来られたようだ。少し耳が不自由なご様子だったが、80代には見えないくらいである。遠方にある本家が同じ日蓮宗だった事もあり、当寺を尋ねて来られたらしい。
お話をお聞きすると、息子さんに対して様々な思いがあるご様子だった。また、現在は体が不自由な奥さんと二人暮らしで、年金生活との事もあり、法事の費用的な面も心配されていた。私が、ご事情にあわせて法事が営めることや、お膳や茶の子の準備もできる旨お話しすると、すぐにお申し込みになられた。当寺では当たり前のことだが、非常に驚いたご様子である…
今回の仏事では、親が亡き子を思う愛情が強く感じられた。また、親戚一同でお経を捧げ、故人を供養出来たこと、非常に喜んでおられた。目に見えぬ者への思いは、必ずや届くはずである。親の気持ちに応え、きっと故人が、このお寺に皆を導いてくれたのであろう…