「福山駅前発掘調査」現地説明会

これだけ多くの方が、注目されているという事ですね。当山の「石垣資料」も、何かのお役に立てれば幸いです。
先日5月12日、『福山駅前広場整備工事に係る発掘調査』の現地説明会に足をはこんだ。福山城の外堀や、国内最大級となる土塀を支える柱(控柱)の跡が9箇所も検出され、新聞等でも大きく取り上げられた。
現地に到着すると、溢れんばかりの人が発掘現場を取り囲んでいた。当寺に移築された福山駅北口の東外堀の現地説明会を、はるかに上回る人出であった。それだけ市民の関心も高いという事であろう。当日は實相寺に移築された「福山城東外堀石垣」の資料も参考になればと500部準備し、来られた方一人ずつに配らせて頂いた。皆さん事のほかよく知っておられるようで、「あの實相寺さんですか、よく石垣を残してくれましたね。」と感謝しておられた。市議も数名おられ、説明を聞いたり写真を撮ったりしておられた。こういった活動こそがよりよい街づくりの為には必要不可欠と言えよう。
外堀の周りを囲む参加者。熱心に説明を聞かれていました。現状のまま保存される事を、切に願います。
石垣は高さ3メートル、東西25メートルにわたって検出され、約30個の石には刻印が刻まれ、今回は石垣基底部の前面に積まれた『捨石(すていし)』が特に目立っていた。『捨石』とは、堀の水の流れによる洗掘や石垣の崩壊を防ぐ役割を持ち、当山移築の東外堀の発掘時には見られなかった。駅前外堀の方が、潮の満ち干による水の流れがあったのであろう。
今回の『駅前広場整備工事』では石垣の一部をモニュメントとして残す方向で検討されているようだが、更に慎重に議論を重ね、“歴史的に重要な建造物、福山が誇れる文化財”である「外堀」を現状保存し、市民が憩える空間を構築して頂きたい。
形あるものは一度壊せば決して元には戻らないし、そこには先人や名も無き人々の血と汗と涙、大きな願いが込められているのだから…