『英雄』と呼ばれた男

美術館庭園の紅葉も、美しかったです。
先日、広島市内で青年僧の研修会が開催された。広島に行く機会もあまりなく、時間に少し余裕もあったので、広島美術館で開催されている「大ナポレオン展」を観賞しに行った。
ナポレオン・ボナパルト(1769-1821)、軍事指導・政治に優れた手腕を発揮し“強大なるフランス帝国”を築いた男である。また、文化・芸術の発展にも多大なる貢献を残している。
展示室に入ると、数多くの絵画が陳列されていた。主に肖像画が多く、その画は当時のナポレオンの勢いを感じさせるものであった。瞳は爛々と輝き、実に知的な顔立ちであった。
また、展示物には当時身に着けていた装飾品や身の回りの品々、書簡等もあり、一国の頂点に立つ人物の“暮らしぶり”も見る事が出来た。
ワーテルローの戦いに敗れ、イギリス政府からセント=ヘレナに流されたナポレオンは、晩年、孤島での制限されたの暮らしのもと、読書と思索に没頭したようである。このときに、自らの回顧録も多数残しているようだ。
彼の“デスマスク”は、目がくぼみ、頬はこけ、その顔はとても悲しげな表情をしているように思えた。
“盛者必衰”の理はいつの世も常である。『英雄』と呼ばれた男は、歴史の中では現在も生き続けているが、人生の最後に残したであろう未練は、そのデスマスクからは消し去ることが出来なかったのであろう…