お寺での“修養”

明かりを消した堂内に、団扇太鼓が響きわたります。今回、参加された皆さんが真剣に修養されました。
先日、福山東ライオンズクラブ「若獅子会」の皆さんが当寺に研修に来られた。今回で2回目の開催となったが、お寺での研修に皆さん興味津々の様子である。
LC(ライオンズクラブ)の皆さんは、事業所を経営されている方が多く、社会的、人間的にも多くの事が求められる立場おられる。そんな方々が自社の経営のみならず、社会奉仕のためにも入会されているようだ。
夕刻、メンバーの皆さんが集まり研修の開始となる。
全員本堂に上がってもらい、着座して頂く。いつもならストーブやホットカーペットを使って“暖”をとってもらうが、この日は研修と言うこともあり、あえて暖房器具を一切使用しなかった。本堂は一般のご家庭より天井が高く、通気性も良いので非常に寒い。おまけに夕刻から気温が下がり、体感温度はかなり低かったであろう…
今回の研修では、蝋燭の明かりだけを灯した堂内で、団扇太鼓を叩いて「唱題行(しょうだいぎょう)」を体験して頂いた。
まず、心を静めるために目を閉じて黙想。日常の喧騒を離れ、静寂の中に身を置く。続いて「唱題行」。明かりを消した堂内で「お題目」を唱えながら団扇太鼓をたたき、蝋燭の炎に意識を集中していく。
初めて太鼓を叩かれる方ばかりであるが、一糸乱れず打たれる太鼓の音に、皆さんの集中力の高さを感じさせられた。心地よい太鼓の音が堂内にこだまし、あっという間に「唱題行」の時間が過ぎる。
最後に今一度黙想し、高揚した心と体を落ち着かせる…
研修も無事終了し、最後に少しお話をさせていただいた。
「身の回りにある事やある物が当たり前になると、人はその事物に感謝する気持ちを忘れてしまう。今回はあえて暖をとらずに、“暖”の有り難さに気付いて頂きたく修行をさせていただきました」と。
身をもって体験した事は意外に忘れないものである。また、その体験から何かのヒントを得る事があるやもしれない。
今回参加して下さったLCの皆さんが、お寺での体験から“何か”を感じ取って頂ければ有り難いものである。