古きよきモノ

子ども達に見送られ、当寺を出発しました。観光局の方も、境内を見学して下さいました。
本日の朝刊に、福山自動車時計博物館のボンネットバスが鳥取県岩美町に嫁入りした記事が掲載されていた。このボンネットバスは8月から観光バスとして鳥取駅から鳥取砂丘を経由して岩美町の岩井温泉まで土・日曜日に一日二往復するらしい。嫁入り当日の29日は午前9時過ぎに博物館を出発し、旅立ちのご挨拶をしに、わざわざ当保育園に立ち寄って下さった。実は前回の日記にも掲載させて頂いたが当園児も乗せて頂き、ブルガリア舞踊団ホームステイの時には市内観光等に大活躍したボンネットバスである。鳥取県からは文化観光局の方もお見えになっており、当寺に移築された神辺城城門や福山城東外堀石垣、また水野家下屋敷を改築した本堂、昨年末復元した鐘楼堂や開山当時から残る井戸等を一通り見学された。今回嫁入りしたボンネットバスは1965年式で私より数年、年上のようだ。40年以上も前のバスが現在も走行出来ると言うことは、よく考えてみるとすごい事ではなかろうか。バスが実際に走っていた年代の人たちからすれば、実に懐かしい光景であろう。
古いものを再生する事は決して容易いことではないが、今の世の中そういう事が求められているような気がする。“古きよき時代”とはよく言ったものだが、心に刻んだ想い出を再び体験したいと思うことは誰しもあるはずである。實相寺が創建当時の建造物を現在に残す事が出来たのも、“古きよきモノ”を守ろうとする人々の「思い」があったからに違いない。そんな思いをしっかり受け止め、百年後の未来にも“よきモノ”を残していく努力をしなくてはならない。