年輪

我々は幸いに、多くの方と話をする機会に恵まれている。
老若男女を問わず、心の内をそっと聞かせてもらえる。
その話の中には多くの“種”が含まれている。
誰もが、多かれ少なかれ人生の年輪を積み重ねると、次第に余生の事が気になるようである。
絶えず変化し続ける時代の中で、今までしてきた事、これからするべき事…
多くの人は、何かを残し伝えたいと考えている。
勿論、金銭的なものでなく、精神的なものとして。
あるご高齢の方がおっしゃった。「ふと周りをみてみると、いつの間にか友人知人が先に旅立ち、自分ひとりになってしまった。とても寂しい。こんな自分でも今までに多くの経験を積ませて頂いた。そこで得てきたことを、次の世代に残してやりたい」と。
核家族化が進み、世代間の交流も難しい世の中ではあるが、祖父母・曾祖父母世代の方々が体験して得たことを、聞かせて貰える機会を作らなくてはならない。
ご先祖を供養する法事やお寺の行事を通じて各世代が集まり、多くの話が飛びかい人の輪が広がるよう、我々は努めなくてはならない。