母の愛情

今年もお盆の棚経を通じて、檀信徒の様々な“心”を拝することができた。
とあるお宅での話になるが、ご回向が終わりお茶を準備されている時に、「手作りですが、よかったらお召し上がりください。」と、かしわ餅をお出し頂いた。毎年、この時季に作っておられるようで、材料は全てご自身で吟味され、ご主人も手伝ってくれながら作っておられるようである。その味は、まさに“家庭の味”であった。帰りには、わざわざお土産にかしわ餅とおこわも持たせて下さったが、毎年、遠方に住まわれる息子さんに送っておられるとのことであった。
幾つになっても我が子を想う母親の愛情… 産まれた時から母の乳を飲み、母の手作り料理を食べながら大きくなった我が子。久々に口にするその味からは、懐かしいあの頃の記憶もよみがえることであろう。母の愛情は実に深いものである。