大厨子


今月2日は、当山開基檀越上田勘解由直定公の祥月命日であった。上田家は福山藩主水野家筆頭家老として藩政に携わり、直定公は二代上田玄蕃次兄としてその手腕を発揮された人物でもある。当山の位牌堂には、元禄年間に作られた直定公の位牌を安置しているが、前々からこの位牌の入る厨子が欲しいと思っていた。ご命日の2日に、直定公・多興院殿道東日清居士へご回向を捧げ、墓参をさせて頂いた。ちょうど時を合わせるかのように、N筆頭総代が大厨子を持って来てくださったのだ。その大きさと言えば、今まで見たことのないような大きなものであった。どうやら、江戸時代に作られた大厨子を手に入れられたようで、以前私がお話したことを憶えていて下さったのである。早速本堂にて読経を捧げ、直定公の位牌を中に入れてみた。驚くことなかれ、サイズがピッタリではないか。命日に合わせて大厨子がお寺に来て、位牌がピッタリと納まる。まさに、なるべくしてなったようである。数百年と時は流れても、開基檀越として当寺のことを思っていてくださるのかなと感じた。
僧侶として、今は亡き人達を想い、しっかりと手を合わせ、御回向を捧げることで不思議な力を沢山頂いている。今後も感謝の気持ちで、日々の御回向を重ねていきたい。ご寄進頂いたN筆頭総代様、ありがとうございました。