赤外線調査

先日、当山寺宝の七面大明神像の赤外線調査を行うために、高梁市にある吉備国際大学文化財総合研究センターを訪れた。当センターは文化財の非破壊分析、保存修復に優れた技術や設備を持ち、センター長である下山進教授はゴッホの「ドービニーの庭」から、消された“黒猫”を発見された著名な教授でもある。さて当日は、下山先生を始め、馬場先生、高木先生、大下先生の各教授陣と院生の同席を頂き、とても充実した調査となった。
まずは教室にて、ミーティングを行いました。
同センターに到着すると、まず教室にご案内いただき、今回の調査の趣旨、方法、同席者の紹介等をして下さった。教室に集まった院生のフレッシュな顔を見ていると、大学時代をふと思い出す。続いて、こちらから当山の寺歴や七面大明神像についての説明をさせて頂き、いよいよ調査の開始となった。
今回の調査でお世話になりました、下山進先生です。対象物に赤外線を照射していきます。
研究室に入ると、様々な調査に使う精密機器が、ところ狭しと配置されていた。さすが大学の研究設備である。調査に使用する赤外線照射機等の説明を頂き、下山先生が御像に対して合掌を捧げられた。その姿は研究者として、人として、実に神々しく、我々に深く感動を与えるものであった。調査する文化財に対しても最高の礼儀といえよう。
何が出てくるか、皆さんモニターに釘付けです。目視で分からなかった“七面”の文字が現れました。
調査は慎重かつ丁寧で、見ている我々も安心することが出来た。
御像の背面には、目視で判別できない“七面”の文字や、“感得願主、説法主”といった文字がモニターに映し出された。素晴らしいの一言である。
長時間にわたる調査のなかで、各先生方や院生からも文化財に対する熱い思いを聞くことが出来た。文化財の持つ歴史的価値、当時の技術やそれを護ってきた人々の思い… “物”でこそあれ、そこには“魂”が込められているのだ。それらを感じ取ることの大切さを、身をもって先生方は示しておられた。調査を終える時、下山先生は、今度は一同で御像に合掌を捧げるよう声をかけられた。
素晴らしい時間を、共有することが出来ました。
最後に双方で感想等を交換し、赤外線調査は無事終了となった。
今回の調査を通じ、吉備国際大学の皆様とお会いできたことが、私の最大の収穫であった。理事長様、学長様をはじめ、各先生方、スタッフの皆様、当日ご同行頂いた各総代方に、厚く御礼申し上げたい。