師父との別れ2

私が信行道場を出て僧侶となった時に頂いた扇子には『常精進』と認められています。師父は能筆な人でした。

葬儀をつとめてくださる門中寺院の御住職が入堂して来られました。

遺族も威儀を正し、読経させて頂きました。

御導師の読経が堂内に響き渡ります。

師父は自分が化した時は「門中寺院にお願いする」と言っていましたので、門中寺院各御住職から読経して頂き、喜んでくれたと思います。

当日、福山地区保護司会会長様が弔問に駆けつけて下さり弔辞を賜りました。師父の保護司としての軌跡を知ることもでき嬉しく思いました。

兄弟で師父を送ることも一生に一度しかない大切な瞬間だと感じました。

葬儀が終わり遺族で最後のお別れの時間となりました。82年間働き続けてきた法体に、感謝の気持ちで生花をお供えしました。

遺族もそれぞれの思いを込めながら生花を供えていきます。

24年間住職を務めた当山の本堂からいよいよ出棺となります。

霊柩車の前で遺弟と孫たちが棺を迎えます。全ての遺骨を収骨するために、一番大きな骨壺を二つ用意しました。

棺は皆にささえられ霊柩車に運ばれました。

鐘楼堂の梵鐘の音に見送られ火葬場へと出発しました。

誰しも逃れることのできない『生・老・病・死』を、自らの身をもって示してくれたように思います。

調子を崩してから約2か月間の入院生活。コロナ禍でありながら面会が出来たこと、家族皆と顔を会わせることが出来たこと、亡くなる前日まで意思の疎通がとれたこと、家族に看取られながら旅立てたこと… 多くの良き偶然(必然)が重なり最期の瞬間を迎えられたことは遺族にとってもありがたいことでした。

10月12日の四十九日忌までの間、この世でお世話になった皆様方にも、お別れと御礼を伝えに師父が訪れてくれることを願っています。   「今までありがとう、そしてまたどこかでお会いしましょう。」と…

南無妙法蓮華経