生き物の世話

当寺の池には、何十匹という鯉が暮らしている。3年前に親鯉が卵を産み、それが孵って今では親鯉に追いつかんばかりの大きさに成長している。池の側を通ると、大小色とりどりの鯉が口をパクパクしながら餌を欲しがって集まってくる。実に可愛いものである。池には循環装置を設置しており、水の清潔を保つように管理をしている。しかし何十匹という住人がいると、定期的にこの装置を掃除しなくてはならない。
この夏も、息子がよく掃除をしてくれた。水の中には怪しげな生き物が潜み、掃除中にはモスキートが血を求めてやったくる。そんな条件では誰しも進んで掃除などしたくないものだが、お手伝いと理解してやってくれるのでとても助かっている。
生き物を世話することは決して単純容易なことではない。逆に大変であるが故に、生きていくことの大変さを学ぶこともできるのだと思う。透明な水の中で気持ちよさそうに泳ぐ鯉たち、世話した分だけ見る者に“癒し”を与えてくれているような気がする。