白壁の町


先月下旬より、府中市の上下町では“ひな祭”の催しがひらかれている。かつては石見銀山に通じる石州街道の宿場町としても栄えたようで、白壁の町並みは、その風情を今に伝えている。過日、その様子を見に足をのばしてみた。上下駅から歩いて町並みを散策していると、商店街の店先や自宅の玄関先に、きれいに飾られた年代物のひな人形が見えはじめた。昭和期や大正期のひな人形、古いものは明治期のものまであった。一番古いものは享保年間のもので、お雛様は十二単を身にまとっていた。享保といえば、当山の七面大明神もちょうどこの時代のものである。ひな人形もさることながら、白壁の町並みも素晴らしかった。現在も商売をされている店が多かったが、表通りは漆喰や平瓦、焼き板や木枠で古民家や昔ながらの町並みを再現させており、とても落ち着いた雰囲気であった。途中で休憩した喫茶店も謂れのある旧家を改装したようで、当時の面影を残しながら、人々の憩いの場として活用されていた。聞けば、350年程前の建築物であるとのことだった。更に散策していると、数軒の骨董屋が目を引いた。中に入るとその品数たるや、充分目を楽しませてくれた。
ひな祭の催しは全国でも数多く開かれているようで、福山では鞆の浦が有名であろう。古いものを活用し、そしてその時代を振り返る。自分の身の回りの歴史文化に触れるには、ごく自然でとても有効な催しとも云えよう。





