小さな命

石に刻まれたその文字は、皆さんをいつでも導いてくれることでしょう。「1人じゃないよ…」そんな気持ちが伝わってきます。
温かな春の陽気につつまれながら、沢山の方がご家族の眠る墓所にお参りされている。実に穏やかな彼岸である。当山の参道で、いつもお参りされた方を見守っている水子地蔵のすぐ脇に、「水子地蔵尊」の石碑を据えることが出来た。訪れた方が手を合わせ、献花やお供えをして下さる水子地蔵。いつもその周りには、綺麗な花やお供物が満ちている。
この世に生まれてこれなかった子どもたちの魂、その“小さな命”を思う親の気持ちは実に深い。“生命の誕生”とは実に尊く、神秘的なものである。
水子地蔵の膝元には、可愛らしい小地蔵も祀られている。真っ赤な帽子は、「冬の間、寒くないように」と、米寿を迎えられた檀家のHさんが縫ってくださった。いつも、水子地蔵の“前掛け”も縫ってくださっている。
そんな水子を思う温かな気持ちにつつまれて、小さな魂も喜んでいることであろう。