母を送る

6月14日午前2時、母が静かに息を引き取った。73年の人生であった。

平成25年8月に脳出血で倒れ、後遺障害を残すも兄夫婦の介護を受けながら自宅で療養を続けた。平成28年10月、2度目の脳出血にて再度入院し、この時大腿骨頸部骨折もあり股関節の手術を受けるも自力での歩行は困難となった。その後は病院にてリハビリ等を受けるが予後も思わしくなく、最終的に介護施設へ入所することになった。

最初に倒れてから看取るまでの間にたくさんの思い出ができた。体の自由がまだ利くときには行きたいという所へ連れて行けたし、沢山の話を聞くことができた。高次脳機能障害もあり次第に障害を感じさせる言動が増えてきたが、会えば笑顔で話をしてくれたし、自分の良いところを見せようとしてくれた。2度目に倒れてからは次第に身体機能も低下していったが、私や妻が訪れた時はちゃんと誰だか分かってくれていた。介護や看護とは決してきれいな話ばかりではないが、母が死に向かう姿からは多くのことを学び感じることが出来た。おそらく母もその姿をまざまざと見せてくれたのだと思う。

亡くなる2時間前、檀家から頂いた梅の実がとてもいい香りだったので、母の顔のそばにそっと置いて色々とおしゃべりをした。その後母は旅立ったが、その顔はとても安らかな表情であった。

73年間お疲れさまでした。そして産んでくれてありがとう…