迷い犬

先週の土曜日のことである。その日は、近所で聞きなれない犬の鳴き声が朝から響いていた。「どこの犬だろう?」そう思いながら午前中が過ぎていった。夕方、家にいた息子が外に出てしばらくすると、犬を連れて帰ってくるではないか。「如何したのか?」と尋ねると、境内に迷い込んできたとの事である。中型でまだ若い雌犬であった。とても人なつっこい犬で、お手やお座りもきちんと出来るではないか。交通量も増え、フラフラ近所を歩いていると危いので保護することに。昨年まで我家にいた愛犬クマの小屋がちょうど空いていたので鎖につなぎ水と餌をあたえると、喉が渇いていたのかたっぷり水を飲んでいた。
翌日、妻と息子で交番に届出をしに行くと、迷い犬は拾得物としてみなされるようで、1週間は警察で、その後は動物愛護センターで預かってもらえるが、時期が来れば処分されるとの説明であった。もしかすると飼い家に戻ることがあるかもしれないとの助言もあり、その日は届出をせずに連れて帰り、晩に放してみることにした。
翌朝、本堂に朝勤にあがると、境内に犬の姿は見当たらなかった。「無事帰ってくれたか…」と安堵していると、再び見覚えのある犬がやってくるではないか。保育園の登園時間でもあったので、再度鎖につなぐことに。その日は警察に届出を済ませ、我家でしばしあずかることになった。
翌日、「飼い主らしき人が見つかりましたと。」交番から連絡があった。午後にはご夫婦で確認に来られ、犬の所へ案内すると、めでたく飼い主とのご対面となった…
ちょうどクマが亡くなったのが、1年前の1月であった。偶然とはいえ人なつっこい犬が迷い込んできて、妻も息子もクマのことを思い出しながら迷い犬を可愛がっている様子であった。ほんの数日で無事飼い主のもとに戻れてラッキーだと思う。お寺に迷い込んできたこともあり、御仏さまにも守られたのであろう。
無事に帰れて良かったね。