福山城遺構保存の行方

昨年5月の現地説明会にて。現在見えていない遺構も沢山あります。
今月に入り、福山城の舟入状遺構保存を発表した市の「福山駅前広場整備の計画変更案」に対し、各方面で様々な意見が飛び交っているようである。福山駅前水辺公園プロジェクトとの4回にわたる交渉も物別れに終わったまま進展がなかっただけに、今回の計画変更を機に対話が持たれることが期待される。
駅前整備計画に関しては、色々と問題点もあるように感じる。市が発表した計画案によると、保存される遺構は舟入状遺構の一部だけで、その他の石垣の多くは移設したり埋め戻したりするのに対し、全体が保存されると思っている人が多数いること。また、水辺公園プロジェクト側の提案している山下誠一郎先生(都市及び地方計画技術士)等の計画案があまり周知されておらず、どのような駅前像を描いているかを市民があまり知らないということ等である。市の計画変更発表後、「日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員長」を務める東海大・近藤秀夫教授や「金沢城調査研究所」の北垣聰一郎所長が相次いで視察に訪れ、コメントを発表している。「遺構は水を張った外堀の形に復元する事が最も理想的、現地での保存が原則、城郭は見渡せる形で保存するのが望ましい等」と…
いずれにせよ、市の変更案と水辺公園プロジェクト側の計画案を比較しながら、専門家の意見を幅広く取り入れて検討し、広く市民の理解を得ることが望まれるのではないだろうか。遺構の全面撤去から一部保存へと姿勢を転換させた福山市の今後を注視したい。