怖いもの見たさ
昨日、庄原から県立広島大学の生命環境学部の教授と広島県森林環境づくり支援センター職員を始め、バイオマス関係者の方々20名が当山にお見えになられた。
バイオマスとは「生物を利用して有用物質やエネルギーを得ること」を意味し、当寺の境内建築物が古材を利用して改修された事もあり、一事例として見学に来られたのだ。ことに、鐘楼堂、水盤舎、収蔵庫、井戸屋は全て今年に入ってからの完成で、もともと当山にあったものを復元したのである。古材は、長年風雪に耐え続けてきた歴史の重みと、人々を優しく包みこむ“温かさ”を感じさせてくれる。
また、建築物だけでなく井戸も創建当時からあったものである。この井戸、長い間蓋をされて地中に眠っていたが、当山「平成大改修」にて発見され“目覚めた”わけである。不思議な事に境内からは、他に2つの井戸も発見され、全部で3つの井戸の“封印”が解かれたのだ。
創建当時からの井戸は非常に深く、中を覗くとはるか下の水面に自分の姿が映って見える。当山を訪れた方に、時々井戸の中をお見せするが、覗いている姿は面白い事に、皆さん腰が引けている。井戸の底を覗きたいという興味心とは裏腹に、落ちてはいけないという恐怖心がそうさせているのだろう。まさに“怖いもの見たさ”である。
お寺には神秘的なものが以外に沢山ある。建築物や仏像仏具に限らず、木や石に至ってもそうである。自ら言葉を発することは無いが、「目に見えないメッセージ」を感じとることが出来れば、そこは意外と「面白い場所」になるのではなかろうか。