秋のご供養
8月の「お盆」が終わり、今月は「お彼岸」である。「お彼岸」とは秋分の日を中日に、前後3日間の一週間を言う。この一週間は、仏道修行に励む期間とされている。
また秋分の日は、昼と夜の長さが同じ事から、仏教で説く『中道』【ちゅうどう(相対する両者のいずれにも偏らない高次の立場)】を意味するとも言われる。
当山でもお中日の23日、午前10時から「彼岸会法要」を勤修した。お盆に比べてずいぶんと涼しくなり、爽やかな秋風を感じながらの法要であった。いつも大勢の方がお参り下さり、皆でお経を読み、お塔婆をご先祖様や故人に捧げ、供養を重ねている。また、法要が終わると、いつも法話をさせていただいている。
お塔婆は正式には「卒塔婆(ストゥーパ)」と言い、お釈迦様が亡くなられた後、そのご遺骨を安置するために建てられた「仏舎利塔」を意味する。仏教が中国をへて日本に渡り、卒塔婆は三重塔や五重塔に形を変化させながら今の形になったようである。何百年もの昔から、故人の遺骨を安置するために塔を建てて供養したということは、現在我々がお墓を建てて納骨供養するのと何ら変わりがないのである。
さて、「供養」とは目に見えないものであるが、生きた我々に置き換えてみると意外に解りやすい。誕生日にプレゼントをもらうようなものであり、寒中に暖を得るようなものであり、暗所に明かりを得るようなものであり、飢えた時に食を得るようなものである。これはあくまで方便(喩え)であるが、施されると嬉しいことに違いない。それは亡き者に対してだけでなく、我々生きる者に対しても同じように出来るはずである。
『彼岸』は悩みや苦しみから離れた、安らぎ世界を意味する。他の者に“心からの施し”が出来れば、彼岸が一歩近づくような気がする。
明日が結岸、彼岸の最終日。あなたも誰かの為に“善行”を積んでみませんか…