ご先祖様へ

御家族揃っての棚経。有り難いですね。
今年も、『お盆』が無事に終わった。ご先祖様へ感謝の念を捧げる「お盆」は、日本独自の善き伝統文化である。
「お盆」には、檀信徒各家にお伺いし、ご仏壇(精霊棚)に御回向をさせていただく。これを『棚経(たなぎょう)』という。
一ヶ月早くお盆を迎える東京近郊には七月中旬に、七月末は大阪、京都、八月に入ると広島市内・岡山市内、そして福山市内とお伺いさせていただく。この時期、スクーターに乗ったお坊さんをよく見かけるのは、そのせいもある。
今年も各家庭にてわずかな時間ではあるが、ご家族とお話が出来たことを嬉しく思う。この時期は世の中で言う「お盆休み」の時期で、ご家族も出先から帰省していることが多い。そんな中、私が「棚経」にお伺いすると、ご家族皆が仏壇の前に揃って座り、ご先祖様に一緒にお経をあげて下さる。実に有り難く、尊い光景である。
ご先祖様と言っても、三代も前にさかのぼれば、直接話をしたことも少なくなるだろうし、自分を起点に考えると4組(8人)の曽祖父・曾祖母が存在する事になる。もう一代さかのぼると16人、五代前になると、実に32人のお爺ちゃんお婆ちゃんが存在するのだ。その一人が欠けても自分はこの世に存在しない事になる。
こんな事を考えると眠れなくなりそうだが、自分がこの世に生まれてくるには、どれだけ多くのご先祖様が関係しているのだろうか…
そんなご先祖様に感謝の念を捧げることは、実に「理」にかなっているし、ごく「自然」なことではなかろうか。
我々もいずれは“あの世”におもむく。曾孫(ひまご)や玄孫(やしゃご)にあたる子孫から手を合わせてもらえるよう、この世で頑張って『善行(ぜんぎょう)』を積まなくてはならない…